プロセスマネジメント小説 本文へジャンプ
第8話 「分業」


 

      トシ「プロセスマネジメントができている企業の強みは分業による生産性の向上の仕組みがあることさ。

タカのお店だって『役割分担』的な分業システムで動いてるでしょ?」

 

      タカ「付け場(板場)は親方と信さん。ホールはおかみさんと麗華さん。俺は主に洗い場と会計が担当だね。

それぞれが専門分野を持つことで、ある程度の生産性は維持しているかもね」

 

トシ「そうだね。その『役割分担』的な分業を、さらに大きな価値を生み出せる仕組みに発展させる考え方があるんだ。それを3つに分類したものを『分業運用3類型』と呼んでいるんだ。」

 

      トシ「まず一つ目は『リレー型』。

一本のプロセスをリレー競技のように時系列に沿って分業していく。企画部が商品戦略を練って、営業が売って、配送部門が届けるとかね。『さわ田』でやっていることもこれに当たるね。それぞれが専門分野を 受け持つやり方さ。」

 

      タカ「ふんふん。これは分かる」

 

      トシ「お次は『アドオン型』。

アドオンっていうのは『付け加える』って意味で、あるプロセスに来たら熟練者などが作業に加わることだよ。

たとえばクロージングの時に営業部長が同行してクロージングしてくれるとかね。」

 

      タカ「あ、それ、前の職場で経験ある。向こうも上席が出てきてくれるんで話が早いよね。店では時々突き出しの煮物を作らせてもらえるときがあるんだけど、必ず最後に親方が味を見て仕上げをするあれだな。」

 

      トシ「そういうこと。そして最後は『ピールオフ型』。

ピールオフは皮を剥がすって意味で、熟練者がやっても意味がない作業を、他の人がやる方法さ。

たとえば見積もりをスタッフ事務員に頼んだり、面会のアポ入れを新人社員がやったりするで しょ。」

 

      タカ「うんうん シャリを炊いたりとかね、最近大根のツマを作るのは俺の仕事だもんな」

 


(続く)

 


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