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201×年8月某日、すし処さわ田の跡取り息子沢田隆彦は、プロセスマネジメント財団が本拠を置く、日本橋のソフトブレーン・サービスを訪れた。
小さな会議室に通された隆彦の前に、笑顔で現れたのはもちろん作田利大だ。
「やあ、いらっしゃい。これから早速補講をしますが、最初に話しておきたいことがある。」
「このプロセスマネジメント大学は、大半の受講者が受講中に効果を実感できる実践的講座なんだ。だけどそうなるためには一つだけ覚えておいて欲しいことがあるんだ。」
「なんだい?」
と隆彦はいぶかしげにたずねた。
「毎回講義の後半は、ワークシートを使ったワークが中心になる。このワークが課題解決と具体的な効果の鍵になるのでしっかり取り組んでほしいんだ。当然といったら何だけど、このワークは講座時間中には終わらないので宿題になる。 このワーク(=宿題)をしっかり完成させて、実際の業務に活かすことが、成功の鍵だと思ってほしいんだ。そしてこの実践を記録して最終的な目標達成につなげていく『目標達成のための進捗管理表』というワークシートもあるのでしっかり活用して欲しいと思う。」
「宿題かぁ」
隆彦はたまらず渋い顔になった。
「プロセスマネジメント大学は足かけ10年の歴史があるんだけど、理事長を務める野部社長によると、受講企業の成績向上は、講義内容を理解できたかどうかよりも、この宿題をきちんとやったかやらないかが、分かれ道になるそうだよ。タカだって、せっかくバイクの頭金つぎ込んだんだから、無駄にはしたくないだろ?」
作田は諭すように言った。
「まあ確かにね。学生の時と違って仕事もあってつらいけど、トシを信じてがんばることにするよ。」
ようやくやる気モードに入った隆彦をさらに励ますように、作田も講師モードに入った。
「その意気だよ。じゃ早速始めるよ」
(続く)
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